「総合学科」はどういう学科ですか?
高校には「普通科」と農業・工業・商業などの「専門学科」があります。「総合学科」はどちらでもない,第3の学科です。選択科目が多く用意されていて,自分の進路や興味・関心にあわせて,自分で考えながら科目を選択していくことが一番の特徴です。
高校には「普通科」と農業・工業・商業などの「専門学科」があります。「総合学科」はどちらでもない,第3の学科です。選択科目が多く用意されていて,自分の進路や興味・関心にあわせて,自分で考えながら科目を選択していくことが一番の特徴です。
どの高校でも学ぶ必修科目,総合学科の原則履修科目,総合的な探究の時間の他に,選択科目が1年次で2単位,2年次で12単位,3年次で22単位あります。1週間あたり1時間学習すると1単位です。例えば,1年次では週2時間選択科目を勉強します。
興味・関心のある科目を自分の意思で選び自分の時間割を作る,就職や進学という目的に沿って主体的に学習することができる,それが総合学科です。体験的な学習や課題解決的な学習を通して,学ぶことの楽しさや成就感を体験することができます。
「産業社会と人間」は,総合学科の1年生全員が学習する科目です。様々な体験学習や社会人の方々による講話などを通して,現代の産業社会の特徴や,人間の生き方と職業の関わりなどについて学びます。そのうえで自分の適正や興味・関心,将来の進路について考え,2・3年次の「自分だけの時間割」を作成し、“私のライフプラン”を創ります。そして2・3年次に学習する自己の進路や生き方をさらに深く見つめる「総合的な探究の時間」へと発展していきます。
私たちの学校の総合学科では,総合的な探究の時間を2年次に週1時間(1単位),3年次に週2時間(2単位)行います。高校生活は,入学してからのさまざまな学習や経験により,進路に対する見方や考え方に変化がでてきます。この変化を大事にし,将来に対する考え方を高校生のレベルで考えることはとても重要なことです。
1年次での「産業社会と人間」や2年次・3年次での「総合的な探究の時間」で,体験的な学習や課題解決的な学習をしていきます。具体的には,各教科の学びを現代社会で起きている諸問題(SDGsなど)と結びつけたり,本校の伝統や地域資源を活かしたりすることで,よりよい社会を構想・実現していく力を養います。
できるかぎり選択科目を用意しましたが,みなさんの希望する将来の進路や興味・関心は実にさまざまで,全てに答えるわけにはいきません。また,科目をばらばらに選択したのではまとまった学習ができません。そこで,用意できる選択科目をみなさんの目安となるように,いくつかのグループにわけています。総合学科では,このグループのことを『系列』と呼んでいます。
私たちの学校には,「自然科学」「情報ビジネス」「健康福祉」「人文社会」の4つの系列があります。
『自然科学系列』では,自然界の事象や自然環境との関わりに対する関心を高め,科学的な思考力・表現力や態度,環境保護に対する姿勢を養います。
『情報ビジネス系列』では,簿記会計を中心にした科目選択と,情報処理を中心にした科目選択ができます。簿記実務検定,情報処理検定など上位の級を取得できるようになっています。資格を多くとりそれを仕事や進路に生かそう,ということです。
商業科の学習に近いものになりますが,商業の情報処理のほかに専門教科「情報」の科目「情報デザイン」や「情報の表現と管理」も勉強できます。私たちの学校には,現在120台ほどのコンピュータとiPadがあります。
『健康福祉系列』には,みなさんの良く知っているスポーツを学習する科目のほか,「体育概論」や「生涯スポーツ」などの科目,介護職員初任者研修の資格を取得できる福祉の科目,「保育実践」や「幼児音楽」など幼児教育について学べる科目などがあります。
『人文社会系列』は,文系の大学進学に必要な,英語,国語,社会(高校では地理歴史と公民の2教科にわかれます)などの科目が中心になります。文系の大学や短大への進学を考えている人,就職や公務員を考える人など幅広く選択します。
みなさんの中には,福祉に興味のある人もいるかと思います。介護職員初任者研修の資格取得をめざしている人の中には,さらに大学で専門的に福祉を勉強する,介護福祉士の資格をとるため短大や専門学校に進学する人もいます。そういう人は国語や英語などの人文社会系列の科目を選択しています。就職を考え,簿記や情報処理の勉強もしたい人は,情報ビジネス系列の科目を選択しています。このように,自分の進路や興味・関心にあわせ,他の系列の科目を選択してもかまいません。系列はあくまで科目をグループ分けしたものです。系列を目安として,自分の進路や興味・関心を考えて「科目を選択する」のが基本です。
これまでの卒業生の進路先は,大学・短大への進学,専門学校への進学,就職が3分の1位ずつです。「各自の進路希望を実現させる」それが私たちの学校の一番の目標です。
受験に向けた「効率」ということを考えると,残念ながら普通科にはかないません。「さまざまな生徒へさまざまな面からさまざまな配慮をする」のが総合学科だからです。入学後「高校生という立場から自分の進路を再度十分に見つめ直す」のも総合学科です。
もちろん,大学入学共通テストが受けられないということはありません。受験に必要な科目の勉強が不足しないように,放課後や長期休業中には課外授業を実施しています。
大学入試は実に多様な方法で行われ,推薦入試も多くの大学で取り入れられています。特色ある学習,部活動,生徒会活動,ボランティアなど,本校ではさまざまな活動で自分を特徴づけることができます。自分を特徴づけ,それをPR材料に推薦入試で臨むこともできます。
その通りです。にもかかわらず,本校の就職率は県内平均より特に高く,様々な企業で卒業生たちが活躍しています。高校生を採用する企業が少なくなってきている原因として「卒業3年後に,卒業したときに就職した企業にそのまま勤めている者は5割しかいない」ということがよくいわれます。働くとはどういうことなのか,社会人として生きていくためには何が必要か,よくわからない人が多くなってきているように思います。
総合学科の場合,1年次の「産業社会と人間」の授業のなかで,社会人講話や職場体験実習を行い,社会を知り,職場を直接経験する機会があります。2年次には希望者に対し数日間のインターンシップを行っています。また,授業やさまざまな活動を通して学校以外の人と触れ合うことも多くあります。さらには,学校全体で欠席が少ないことや部活動が盛んなことが,本校の就職の実績につながっていると考えています。
全く違う二つの学科が同じ学校にあってうまくいくのか,という疑問があるかと思いますが,授業以外の活動は一緒ですし,総合学科の授業のなかにも,農業に関する「地域資源活用」などの科目があります。3年次の選択科目群には,二つの学科共通で選択する科目群もあります。本校の特色を生かし,授業以外でも,さまざまな面で両学科の交流に心がけています。
総合学科は,自分が学習する科目を選択し,自分なりの3年間の学習をつくることができるなど,他の高校にはない自由があります。ただし,自由である反面,「主体的に判断する意志」や「自ら学ぶ姿勢」が必要です。
「好きな分野を勉強し自分の個性をのばしたい」「自分がめざす職業に結びつく学習をしたい」「いろいろなことを広く学習したい」「自分の進む道をさがしたい」など,総合学科への入学を考える人にはさまざまな人がいます。自分を特色づける機会が多くあるのが総合学科です。入学したら,自分のやりたいことを考え,いろいろなことに挑戦してみましょう。みなさんも総合学科への入学を考えてみませんか。